愛すべき日常!おもしろいエッセイ集5選

作家、歌人、エッセイの名手、小説の神様が書く、おもしろいエッセイを5つ紹介します。

『ザ・万歩計』万城目学

小説『鴨川ホルモー』や『鹿男あをによし』の著者。
プロの作家は日常をこんなにおもしろくて書けるのか!と驚きました。
僕はこの方の小説を読んだことはなかったのですが、絶対に小説もおもしろいはずだと思わざるを得ないおもしろさのエッセイでした。

少年時代に大阪で阿呆の薫陶を受け、大学時代に自分探しの旅先で全財産を失い、はては作家目指して単身東京へ。ホルモーでついに無職を脱するも「御器齧り」に苛まれ、噛みまくるラジオに執筆を阻まれ、謎の名曲を夢想する日常は相変わらず。そのすべてを飄々と綴った初エッセイ集。文庫版あとがき「その後の万歩計」を収録。

『指先からソーダ』山崎ナオコーラ

ハッと目からウロコが落ちるのではなく、ものすごく小さく頷かされるような感じの気付きがたくさんありました。
これまで自分はちゃんと考えたことがなかったようなことの、山崎ナオコーラさんなりの考え。それが、考えました!と声を大にして言うのではなく、さり気なく文章に現れている。そのいちいちに小さく小さく納得し、小さく小さく頷きながら、読んでいきましま。

けん玉が上手かったあいつとの別れ、誕生日に自腹で食べた高級寿司体験、本が“逃げ場”だった子供の頃のこと…朝日新聞の連載で話題になったエッセイのほか、「受賞の言葉」や書評も収録。魅力全開の、初エッセイ集。

『本当はちがうんだ日記』穂村弘

歌人の穂村弘さん。
この方のエッセイは抜群におもしろいです。
ついこの間も読み返しまして、「ツナ夫」のコウノさんに爆笑しました。

自意識が強すぎて身のこなしがぎくしゃくしている。初対面の人に「オーラがない」と言われてしまう。エスプレッソが苦くて飲めない。主食は菓子パン。そんな冴えない自分の「素敵レベル」を上げたいと切望し続けて、はや数十年。みんなが楽々とクリアしている現実を、自分だけが乗り越えられないのは何故なのか?世界への違和感を異様な笑いを交えて描く、めくるめく穂村ワールド。

『柿の種』寺田寅彦

寺田寅彦さん、エッセイの名手と呼ばれているそうです。
とても短い、なんてことない些細な日常の気付きみたいなものを記されているような感じなのですが、なんとも味わい深い文章です。
自分もこんなふうに書けたらなあ、と思います。

日常の中の不思議を研究した物理学者で随筆の名手としても知られる寺田寅彦の短文集。「なるべく心の忙しくない、ゆっくりした余裕のある時に、一節ずつ間をおいて読んでもらいたい」という願いのこめられた、味わいの深い一七六篇。

『志賀直哉随筆集』志賀直哉

小説『城の崎にて』を読み、この人の文章が好きになり、購入。
小説の神様なんて呼ばれているそうですね。
やっぱり好きです。
丁寧で、正確で、淡々とした文章。
「玄人素人」で書かれた、ハブとマングースが対決するところの描写、すごいです。

勁い簡潔な文体で,自然のたたずまい,鳥獣虫魚の生態,人間の深い感情の動きを捉え,ディテールを鮮明に描き出すことにより「全体」を表現した卓越したリアリズム作家志賀直哉(一八八三―一九七一).夢や幻覚や妄想をしばしば題材とした夢と想像力の作家志賀直哉.豊かな作品世界を満喫する「目に見える」ように書かれた随筆六十篇.