書き出しでもっていかれる小説5選

小説の書き出しっておもしろいですよね。

『雪国』川端康成

こんな書き出し

 

国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。夜の底が白くなった。

ド定番ですね。
書き出しといえば必ずこれが挙がると思います。
ノーベル文学賞作家の川端康成。一度は読んでおきたい作品です。

『4月のある晴れた朝に100パーセントの女の子に出会うことについて』村上春樹

こんな書き出し

 

四月のある晴れた朝、原宿の裏通りで僕は100パーセントの女の子とすれ違う。

え? 100%の女の子って何? 何が100%なの?! と、もっていかれます。
『カンガルー日和』という短編集に収録されている作品。これのほかの短編もすごくおもしろいです。

『くっすん大黒』町田康

こんな書き出し

 

もう三日も飲んでいないのであって、実になんというかやれんよ。ホント。酒を飲ましやがらぬのだもの。ホイスキーやら焼酎やらでいいのだが。あきまへんの? あきまへんの? ほんまに? 一杯だけ。あきまへんの? ええわい。飲ましていらんわい。飲ますな。飲ますなよ。そのかわり、ええか、おれは一生、Wヤングのギャグを言い続けてやる。君がとってもウイスキー。ジーンときちゃうわ。スコッチでいいから頂戴よ。どや。滑って転んでオオイタ県。おまえはアホモリ県。そんなことイワテ県。ええ加減にシガ県。どや。松にツルゲーネフ。あれが金閣寺ドストエフスキー。ほんまやほんマヤコフスキー。どや。そろそろ堪忍して欲しいやろ。堪忍して欲しかったら分かったあるやろな。なに? 堪忍していらん? もっとゆうてみいてか? 毒性なおなごやで。あほんだら。どないしても飲まさん、ちゅうねんな。ほなしゃあないわ。寝たるさかい、布団敷きさらせ、あんけらそ。

なんなんですかね、これは。もうわけがわかりません。
わけがわからなすぎて、一気にもっていかれますね。

『走れメロス』太宰治

こんな書き出し

 

メロスは激怒した。

これも定番かもしれません。
おお?! 何にそんなに怒っているんだ?! と、もっていかれますね。
中学校の授業で読んだ記憶がありますが、大人になった今読んでみると、また違った面白さがありますね。

『博士の愛した数式』小川洋子

こんな書き出し

 

彼のことを、私と息子は博士と呼んだ。そして博士は息子を、ルートと呼んだ。息子の頭のてっぺんが、ルート記号のように平らだったからだ。

登場人物の紹介を、一発でバシッ!と決めたな〜。
本屋大賞受賞作品。

小説の書き出しいえばこんなのも

書き出し小説大賞

書き出し小説大賞

書き出し小説とは、書き出しだけで成立したきわめてミニマムな小説スタイルである。

書き出し小説大賞では、この新しい文学を広く世に普及させるべく、諸君からの作品を随時募集し、その秀作を紹介してゆく。

デイリーポータルZで定期的に行われている書き出しの公募。
書き出しだけでこんなにおもしろい!

本の書き出し

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