毎年夏ごろに行われる角川文庫のフェア。
1990年から1999年までの10年間連続で選ばれ続けていた13作品をまとめました。
日本の作家と海外の作家の作品で分け、ページ数の少ない順に並べています。
角川文庫フェアに10年連続で取り上げられた日本の作家の本
『坊っちゃん』夏目漱石
江戸っ児をもって任ずる若い教師の坊っちゃんが、その一本気な性格から、いつわりにみちた社会に愛想をつかす。作品を一貫するものは、人間漱石が持って生まれた反俗と正義の心に外ならない。ロマンティックな稚気とユーモア、その歯切れのよい表現は、爽快さにみちている。
灘校伝説の国語教師・橋本武先生が、課題図書として指定した本でもあります。
100年以上前の作品ですが読みやすく、ページ数も少ないので古典の名作の入門にも最適な本だと思います。
ページ数:154
『人間失格・桜桃』太宰治
無頼の生活に明け暮れた太宰自身の苦悩を描く内的自叙伝であり、太宰文学の代表作である「人間失格」と、家族の幸福を願いながら、自らの手で崩壊させる苦悩を描き、命日の由来にもなった「桜桃」を収録。
「人間失格」も有名な作品ですね。
難しい話かなと思ったのですが、とても読みやすかったです。
「桜桃」も大好きな作品で、一緒に収録されているのはとてもお得ですね…!
ページ数:208
『銀の匙』中勘助
書斎の小箱に昔からある銀の匙。それは、臆病で病弱な「私」が口に薬を含むことができるよう、伯母が探してきてくれたものだった。成長していく「私」を透明感ある文章で綴った、大人のための永遠の文学。
灘校の国語教師・橋本武先生が、伝説の超スローリーディングの授業で教材として使用した作品です。
丁寧に、正確に書かれた文章がとても心地良いです。
ページ数:222
『九月の空』高橋三千綱
剣道へのひたむきな想い。性への憧れと反発。家族への理由のない苛立ち。十五歳の少年勇の心は揺れ動きながらも、今、大きくはばたこうとしている…。青春を爽やかに謳いあげ芥川賞受賞!
お恥ずかしながら初めて聞いた作品です。10年連続で選ばれているし、おもしろいのは確実なのでしょうが、あらすじを読んで「おもしろそう!」と思いました。
ページ数:262
『銀河鉄道の夜』宮沢賢治
永久の未完成これ完成である。自らの言葉を体現するかのように、賢治の死の直前まで変化発展しつづけた。最大にして最高傑作「銀河鉄道の夜」。「よだかの星」「貝の火」ほかの代表作。
ページ数:264
『堕落論』坂口安吾
「堕ちること以外の中に、人間を救う便利な近道はない」。第二次大戦直後の混迷した社会に、かつての倫理を否定し、新たな考え方を示した『堕落論』。安吾を時代の寵児に押し上げ、時を超えて語り継がれる名作。
ページ数:327
『こゝろ』夏目漱石
「自分は寂しい人間だ」「恋は罪悪だ」。断片的な言葉の羅列にとまどいながらも、奇妙な友情で結ばれている「先生」と私。ある日、先生から私に遺書が届いた。「あなただけに私の過去を書きたいのです…。」遺書で初めて明かされる先生の過去とは?エゴイズムと罪の意識の狭間で苦しむ先生の姿が克明に描かれた、時代をこえて読み継がれる夏目漱石の最高傑作。
最高傑作…。
そうなのでしょう。新潮文庫の百冊フェアに20年連続で取り上げられた17作品のひとつでありますし、集英社文庫「ナツイチ」でも9年取り上げられた作品(後日公開します)でもあります。
ボクは高校の国語の教科書に載っていたことを鮮明に覚えています。
ページ数:335
『氷点(上)』三浦綾子
辻口病院長夫人・夏枝が青年医師・村井と逢い引きしている間に、3歳の娘ルリ子は殺害された。「汝の敵を愛せよ」という聖書の教えと妻への復讐心から、辻口は極秘に犯人の娘・陽子を養子に迎える。何も知らない夏枝と長男・徹に愛され、すくすくと育つ陽子。やがて、辻口の行いに気づくことになった夏枝は、激しい憎しみと苦しさから、陽子の喉に手をかけた―。
三浦綾子氏は『塩狩峠』でも有名ですね。
ページ数:380
角川文庫フェアに10年連続で取り上げられた海外の作家の本
『白夜』ドストエフスキー
ペテルブルグに住む貧しいインテリ青年の孤独と空想の生活に、白夜の神秘に包まれた一人の少女が姿を現し、夢のような淡い恋心が芽生え始める頃、この幻はもろくもくずれ去ってしまう……。
『カラマーゾフの兄弟』『罪と罰』で有名なドストエフスキーの作品。
この2作はいろんなところでオススメとして出てくるのですが、どちらも複数巻にまたがる長いお話で敬遠していました。
この『白夜』はなんと118ページ!短い!うれしい!
ボクは『白夜』でドストエフスキーデビューしようかなと思います。
ページ数:118
『怖るべき子供たち』ジャン・コクトー
未開なそして新鮮な、善悪を識別することの出来ない子供たちの本体は、ちょうど阿片の場合に似ている。同性愛、盗み、虚偽、毒薬、百万の富を濫費する無目的な混乱の中に子供達の官能が露出している。
ページ数:174
『変身』フランツ・カフカ
平凡なサラリーマンのグレゴールはベッドの中で巨大な虫けらに姿を変えていた。変身の意味と理由が明かされることはなく、主人公の家族を巻き込んだ不条理な物語が展開していく――。
ページ数:176
『日本人とユダヤ人』イザヤ・ベンダサン
砂漠対モンスーン、遊牧対定住、一神教対多神教など、ユダヤ人との対比という独自の視点から、卓抜な日本人論を展開。豊かな学識と深い洞察によって、日本の歴史と現代の世相に新鮮で鋭い問題を提示する名著。
ページ数:264
『怪談・奇談』ラフカディオ・ハーン
庶民詩人ハーンは、日本の珍書奇籍をあさって、陰惨な幽霊物語に新しい生命を注入した。盲目の一琵琶法師のいたましいエピソードを浮き彫りにした絶品『耳なし芳一のはなし』等、芸術味豊かな四十二編。
ページ数:304